
その時、企画が動いた。
〜Orchestra Musikの歴史を瞬間で振り返る〜
Orchestra Musik Vol.3
「 巨大、第九」
「第九はどうだろう?」
菅原、荒川に加えて、新しく山口を迎え入れた運営会議の場で、林は企画のアイディアを披露していた。その内容は、どれ一つとっても、無謀なものばかりだった。
「できる企画とは考えていない。でも、やる価値を訴求できれば。」
チャレンジする目標を持つことの大切さを音楽を通じて共有できれば、きっと熱気のある企画になる。その一点で果たして本当に勝負できるのか。ともあれ、必要なものは「実行」の二文字だった。
大風呂敷だけに、企画成功のために何が必要で何が障害になるのか。本気で企画を実行に移さない事には、全体の地図どころか、それさえも見えてこない。2008年明けから、暗中模索の企画立案と運営が始まった。
厳しい予算、合唱とオーケストラの違い、参加の呼びかけ戦略、指導者・ソリストの確保、練習スケジュールの妥当性、集客・宣伝広告戦略、ノルマの妥当性、等。多くの問題を前に、運営委員の熱意は、確実に、そして少しずつ協力者の数を増やす事に成功し、ひとつひとつの問題に丁寧に対応を重ねていったが、合唱人員の確保が決定的に不足していた。
「今回は見送らざるを得ない。」
元々、失うものはなかったことを考えれば、納得のいく、そして事前に十分に予測できた結果ではあった。しかし、この無駄な試行錯誤が、突然に、次回企画の成立を呼び込む事になる。